大阪市此花区の整骨院に併設された柔道教室で2010年11月、指導者との練習中に区内の小学校1年の男子児童が死亡した事故で、大阪府警捜査1課と此花署は2月9日、指導者で接骨院診療助手の男性・S(35)=此花区伝法=と、接骨院経営者の男性・Y(37)=此花区酉島=を業務上過失致死容疑で書類送検しました。


 死亡した男子児童は柔道経験3ヶ月目の初心者で、受け身も十分ではない状態でした。児童は指導者との乱取り中に体調不良を訴えましたが、指導者は「ここでやめたら根性がつかない」などとしてそのまま練習を続けさせました。児童は意識不明になり1週間後に死亡しました。児童は頭を強く揺さぶられたことなどで脳の静脈が切れたということです。
 警察は、死亡した児童が受け身を十分に習得していないことを把握しながら指導者が技をかけ続けたのは過失に当たると判断し、起訴を求める厳重処分の意見を付けています。
 指導者・経営者とも容疑を認めています。指導者は指導について「受け身だけだと子どもが飽きて教室をやめると思い、初心者であることを認識しながら立ち技も導入した」と話し、経営者も「技をかけるのは早いと思った」としながらも指導者の方針を了承していたといいます。
 安全軽視の姿勢が、取り返しのつかない事故を招いた形になります。刑事事件としても厳正な処分が求められるのはいうまでもありません。
 また同時に、この指導者や経営者の姿勢が極端というわけではなく、学校の授業や部活動での事故・学校外の柔道教室を問わず、柔道指導の際には安全を軽視する姿勢があちこちに見られるのが現状です。柔道指導の際には安全指導を徹底する指導者はまだ少数派ですが、安全な指導の風潮を徹底させていかなければなりません。その意味でも、事故の全容を明らかにして安全な指導体制を作るための教訓にしていかなければなりません。
(参考)
柔道で小1死亡、書類送検 業過致死容疑で管理者ら(共同通信 2011/2/9)
◎柔道指導者ら2人書類送検 通い始めて3カ月の小1死亡(asahi.com 2011/2/9)
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