兵庫県教育委員会は2月16日、県教委に提出された「体罰報告書」について、学校名と校長名を開示する方針に転換しました。一方で加害教員の氏名については引き続き非公開とすることにしています。

馬場健一・神戸大学教授が各年度ごとに複数回にわたって「体罰」に関する情報公開請求を申し立てた際、県教委は学校名・校長名・教員名を非公開にしました。馬場教授が異議申し立てをおこない、情報公開審査会が2度にわたって「学校名・校長名を公開すべき」と答申したことを受けたものです。

一方で教員名については、依然として非公開のままにしています。馬場教授が起こした訴訟(事件発生時期ごとに複数)では、1つの訴訟については教員名の開示を命じた判決が最高裁で確定しています。また2月2日に大阪高裁で「教員名も開示すべき」とする判決が下された訴訟については、兵庫県教育委員会は2月16日までに上告しています。

学校名を開示するのは当然です。しかしその一方で、教員名を開示しないというのは不十分です。県教委は「プライバシー」を盾にしていますが、いわゆる「体罰」やそれに類する暴力行為は公権力の乱用行為であり、加害教員のプライバシーという主張はそもそも見当違いです。

「体罰」加害者が、事件の事実関係や処分について周囲に知られないままになった結果新たな凶行に及んだという例は、兵庫県だけではなく全国的にいくらでもあります。

被害生徒の人権を守り、また同種事件を未然に防ぐことで新たな人権侵害の被害者を生み出さないようにするためにも、加害者の氏名公表は必要です。

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