2月に実施された入学試験で、試験時間中に試験問題がインターネットの質問サイトに投稿される事件があった京都大学で3月10日、前期入試の合格発表が実施されました。


 ネット投稿事件では受験生1人が単独で投稿した疑いが浮上し、大学の入試業務を妨害した偽計業務妨害容疑で警察に逮捕されています。大学側はこの受験生個人の合否については明らかにせず、「英語および、文系の数学のすべての答案用紙を厳正に再チェックした結果、合格者の解答には、質問サイトに掲載された回答と酷似または類似しているものはなかった」とするコメントを出しました。
 警察の捜査では、投稿に関与したとされる受験生の答案が、インターネットサイトに寄せられた回答と酷似していたことが明らかになっています。このことから、投稿に関与したとされる受験生は不合格になったとみられます。
 この事件では当初、組織的な犯罪の可能性も考えられました。しかしふたを開けてみると、受験生が単独でおこなった行為だということがわかりました。携帯電話こそ使用しているものの、本質的にはカンニングペーパーを盗み見るのと大して変わらないような単なるカンニングだといえます。
 京都大学では3月10日、学内での試験監督体制などを検証する検証委員会を設置する方針を決めました。事件発覚当初は大学単独の調査では手に負えないような展開になることも考えられたので警察が動く事態にはなったものの、事実関係がある程度明らかになった今となれば、基本的には大学が自主的に調査と再発防止策を検討すべきものだといえます。
(参考)
◎逮捕の予備校生 京大は不合格(NHKニュース 2011/3/10)
◎入試投稿で京大が検証委を設置へ 監督態勢などを検討(共同通信 2011/3/10)
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