群馬県桐生市立新里東小学校の児童自殺事件について、報告書のやや詳細な内容が報じられています。


 調査委員会は3月29日に報告書の概要を公表しました。しかし全文については記者会見では明言を避け、遺族にも結論部分の要約のみ通知したといいます。
 報告書では「いじめが自殺の原因とは断定できない。家庭環境にも要因がある」と結論づけました。その一方で、そのような結論に至った根拠については「児童や遺族のプライバシーや個人情報」として明らかにしませんでした。
 記者会見では、「いじめが原因とは断定できない」などと判断した根拠についての質問が相次ぎました。しかし調査委員会側は「裁判中なのでコメントは差し控える」と繰り返したといいます。
 その一方で調査委員会は、遺族側への聴き取りなどは一切実施していないといいます。遺族側への調査を避けながら「家庭環境にも要因がある」と結論づけたのは、きわめて異常な調査だといえるでしょう。
 この調査結果には、「家庭環境にも要因がある。いじめが原因とは認めたくない」という結論が先にあったという強い疑いを持ちます。元々存在しない「家庭環境の要因」について、具体的な根拠を説明できるはずもないでしょう。
 また「プライバシーや個人情報」などという言い分は、調査委員会側が説明に窮することを自覚しているから、あたかも被害者一家の「プライバシーや個人情報」を考慮しているかのような恩着せがましい言い分を後付け的につけて居直っているという悪知恵ではないかと感じます。
(参考)
◎桐生の女児自殺第三者委報告書 学校より一歩踏み込む(東京新聞 2011/3/30)
◎桐生小6自殺「いじめだけ原因判断できぬ」(読売新聞 2011/3/30)
◎群馬・桐生の小6女児自殺:いじめ、原因の一つ 第三者委が報告書(毎日新聞 2011/3/30)
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