「娘がいじめられている」して授業中の教室に入り込み同級生の男子児童を殴って軽傷を負わせたとして傷害罪に問われた石川県内灘町の父親(53)に対し、金沢簡裁は8月8日、罰金30万円(求刑罰金40万円)の判決を言い渡した。

 殴られた男子児童はいじめへの関与を否定し、学校側の調査でも無関係とされている。判決では、被告の娘へのいじめの存在は認められたものの、殴られた男子児童の関与は否定している。

 被告は男子児童の関与が認められなかったことを不服として控訴し、民事訴訟も提訴する意向だという。

 暴行事件にいたるまでの事実関係については、新聞報道を総合すると以下のようである。
 当時小学校6年だった女子児童はクラスでいじめを受け不登校になった。前日から再び登校できるようになったが、事件のあった2011年10月27日、父親は「いじめられている子どもの気持ちを話させてほしい」と担任教師に申し出て教室に入った。その際に同級生ら数人を問い詰め、いじめへの関与を否定した男子児童に立腹し、担任教諭の静止を振りきってこの児童の顔面を6発殴り、鼻血を出すなどのけがをさせた。男子児童の保護者が警察に被害届を出した。


 一度罰金30万円の略式命令が下ったものの、父親は正式な裁判を請求した。

 判決では女子児童が前夜、いじめに関与した児童を殴るよう父親に訴えたと指摘し、「娘をいじめから救いたい、安心して学校に通わせたいという子を思う親の自然な感情から生じた」とする一方で、男児がいじめを否定したことで「自分の意に沿う答えを引き出そうと繰り返し一方的に殴ったことは到底許されない」とも指摘している。

 暴力では事態をこじらせ、誰にとっても不幸な結果になるだけだということを示す事例である。殴られた児童のいじめ関与についてはここでは判断材料もないし判断できる立場にないが、もし冤罪で殴られたのならそれこそいじめのようなものになってしまう。
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