政府の「教育再生実行会議」は2月15日に会合を開いた。いじめ対策について「規範意識を醸成する」として、小中学校の道徳の教科化を提言することで一致したという。


 しかし道徳は教科にはなじまない領域である。児童・生徒が自ら考えて行動できる道徳的判断力をつけること自体は必要だが、それは外部の社会や自然現象を客観的に分析する中で発見された成果や方法論を元にしている他教科の学習内容と違い、児童・生徒の心の内面に属するものである。
 教科にすると、成績評価なども必要になる。成績評価は教授者が提示した基準に達したかどうかで測られる。外部の客観的現象を元に教育内容が組み立てられている、一般の教科学習ならばそれでも差し支えない。
 しかし道徳の場合、あらかじめ政府や学校側が提示した基準は「特定の価値観」ということになってしまい、それをどれだけ自分のものにしたかという測られ方になってしまうのは必然である。これでは、児童・生徒が一人一人考えて、自分なりの考えや行動を行うというのとは対極の「価値観の押し付け」であり、民主的な道徳教育とはいえない。
 道徳教育の教科化は危険なものであり、強く反対するものである。
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