熊本県の私立鎮西高校の野球部員だった男子生徒(16)が、部員らからいじめを受けたとして学校などに約880万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が、3月15日に熊本地裁で開かれた。学校側は請求棄却を求めた。

 生徒は2012年4月に同校に入学し、野球部に入部した。しかしこの生徒が発達障害を持っていることを理由に、同級生の部員から「殺すぞ。障害児に生まれてきたらいかんだろう」などの暴言を受け、2012年6月には暴行を受けて首を負傷した。暴行が原因で「外野手や投手はできない」と診断され、また急性ストレス障害の診断も受けたという。

 生徒は不登校になり、2012年10月に「学費未納」を理由に除籍された。その後公立高校を受験し直して合格し、2013年4月から公立高校に通うことが決まっているという。

 学校側はいじめについて、2012年6月の暴行でのケガの事実は認めたものの、暴言については認めないとした。生徒側はこの答弁について、「(いじめを)全部把握しているはずなのに、認めない。あきれて何も言えない」と批判する記者会見をおこなっている。

 いじめの内容は極めて悪質で陰湿なものである。事実を認めずいじめを隠蔽することはすなわち、加害者の行為を正当化させ、今後同じような事件をどこかで繰り返す余地を生んでいることにもなる。学校側の対応は疑問と言わざるをえない。

(参考)
◎鎮西野球部いじめ訴訟、学校側棄却求める(日刊スポーツ 2013/3/16)
◎鎮西高野球部いじめ損賠訴訟:学校側、訴え棄却求める??初弁論 /熊本(毎日新聞 2013/3/16)
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