大分県立竹田高校の剣道部で2009年8月、当時2年だった男子生徒が練習中に熱射病で死亡した事故で、指導していた教員の不適切行為や搬送先の病院の医療ミスがあったとして遺族が訴えていた訴訟で、大分地裁は3月21日、学校を運営する大分県と、病院を運営する豊後大野市に対し、約4500万円の損害賠償を命じる判決を下した。


 顧問教員個人への賠償請求は、国家賠償法の規定により退けられた。
 この事故は、剣道部の練習中、生徒が体調不良の兆候を示していたにもかかわらず、顧問は放置した上「演技は通用しない」と暴力も加えたことが指摘されている。また遺族は「搬送先の豊後大野市立病院にも医療ミスがあった」と主張した。
 判決では、生徒が練習中に熱中症を発症したと判断し、その時点で顧問が練習を中止させて救急車を呼ぶなどの措置を取らなかったことが救命可能性を低下させたと判断した。また搬送先の病院の医師が熱中症の可能性を疑わず冷却措置を取らなかったことがは医療ミスにあたるとも判断した。指導していた教員2人の対応と、医師の対応は、いずれも死亡と因果関係があると結論づけた。
 体調不良を放置した上に暴力まで加えたという、顧問教員の対応が不適切だったことが認定された事自体は当然ではある。一方で国家賠償法の壁で個人責任が認められなかった形になったことは残念に思う。
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