大阪市教育委員会は6月11日の市教育委員会会議で、市立専修学校「大阪市立デザイン教育研究所」(デ研、大阪市阿倍野区)を2014年度から募集停止にする方針を決めた。


 同校は大阪市立工芸高校の姉妹校として工芸高校と同一敷地内に設置されている。工芸高校や他高校の美術・デザイン系専門学科の卒業生を対象に、高校の専門課程と接続する形でデザイン分野を学習する専修学校として運営されている。
 現在の高校3年生にとっては寝耳に水の話で、進学希望者は夏の受験に向けて準備を進めてきたという。「次年度入試に向けて準備している受験生がいるのに、次年度入試を直前に突然中止して在校生が卒業次第廃止」という乱暴なことは許されない。
 大阪市では、2012年12月に発生し翌13年1月の年明けに報道発表された大阪市立桜宮高校での「体罰」自殺事件を口実に、2013年2月に実施予定だった同校体育系学科の入試が直前になって一方的に中止された問題があったばかりである。不祥事の責任を無関係な受験生に負わせるのと、学校そのものの閉校計画の違いはあるものの、受験生の進路希望やそれに向けた準備を無視して、受験直前に進路変更を強要させるという被害では酷似している。
 こういう被害で苦しむ受験生を再び作る形になった大阪市は、子どもの教育のことを考えているのだろうか。
 進学を希望している高校生や教職員らからはデ研存続の要望が寄せられているという。大阪市立高等学校教職員組合は大阪市宛に要望書を提出した。大阪市は関係者の声に耳を傾けるべきであろう。
(参考)
【報道発表資料】大阪市立デザイン教育研究所の生徒募集停止について(大阪市教育委員会 2013/6/11)
大阪市立デザイン教育研究所の募集停止に反対です。(大阪市立高等学校教職員組合 2013/6/13)
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