香川県立高松北中学校(県立中高一貫校)で2013年6月、2年の男子生徒が校舎から転落死した事故で、香川県教委は8月28日、生徒らへのアンケートでいじめや「体罰」をほのめかす内容があったものの、いずれも確認できなかったと発表した。


 事故は2013年6月12日の放課後に起きた。男子生徒は校舎のトイレで自傷行為をおこない、校舎4階のベランダに移動したのち、同級生の制止を振り切って飛び降りて死亡した。校舎のトイレの壁に自殺をほのめかすような落書きが残されていた。
 アンケートは中学校と、同じ敷地内にある高校の全生徒・教員を対象に実施した。生徒へのいじめがあったとする回答が数件寄せれたものの、学校側が再調査したところ、いずれも伝聞・噂の域を出ていないと判断した。
 また生徒が2013年3月と5月の2回にわたり、所属する部活動で、顧問から胸ぐらをつかまれて壁に押し付けられるなどの「体罰」・暴力行為があったという記述もあった。顧問教諭は事実そのものは認めたものの、「ルールを守るように指導するためだった」と当日中に保護者に説明していたことから、「体罰」に当たらないと結論づけた。
 滋賀県大津市のいじめ自殺事件で具体的な証言が複数寄せられながら学校・市教委が「伝聞・噂の域を出ていない」と片付けようとして、後日具体的な証言内容が明らかになって重大問題に発展した事例もあり、この事件でいじめを「伝聞・噂」という結論にもっていくのはさらなる具体的な内容の検証が必要という印象を受ける。
 また顧問の暴力行為についても、胸ぐらをつかむなどという「指導」はありえない。それこそ顧問には「ルールを守らせるというのなら、まず自分が社会のルールを守れ」と言わざるをえないものであり、「体罰」ではないとすることに疑問を感じる。
 さらなる検証が必要ではないか。
(参考)
いじめや体罰確認できず/高松北中生転落死(四国新聞 2013/8/29)
中2男子が転落死/高松北の校舎、自殺か(四国新聞 2013/6/13)
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