福岡市東区の市立小学校5年だった2009年10月、当時担任だった男性教諭(当時27歳、現在31歳)に平手打ちなどを受けて鼓膜損傷のケガを負い、耳鳴りや不安神経症などの後遺障害が残ったとして、被害にあった男子児童(現在中学校3年)と保護者が約1000万円の損害賠償を求めて訴えた訴訟で、福岡地裁は9月19日、教諭の暴行と一部の症状との因果関係を認め、福岡市に約190万円の損害賠償を命じる判決を下した。

事件は2009年10月8日に発生した。担任だったT教諭は、クラスのトラブルについて関係した児童に事情を聴いた際、この男子児童に立腹して平手打ちを加えた。児童は両耳鼓膜損傷のケガを負い、めまい・耳鳴りや不安神経症の後遺障害が出たという。
教諭は「感情的になった」として暴行を認め、市教委から文書訓告処分を受けた。刑事事件としては、被害者側が被害届を出し、教諭には2011年3月に罰金30万円の略式命令が出ている。

被害者側は2010年12月に民事提訴していた。福岡市は教諭の暴行の事実関係は認めたものの、暴行と後遺症との因果関係は否定して争った。

判決では、めまいや耳鳴りなど一部の症状を、教諭の「体罰」・暴力に起因する後遺障害と認定し、被害児童への倍賞を命じた。保護者への請求は退けている。

十分とはいえない面はあるとはいえども、暴行と後遺症との因果関係が認められた判決となったのは良かったといえるだろう。いわゆる「体罰」は、今回の加害教師が「感情的になった」と自ら認めているように、教育的目的ではなく感情的になって振るわれる暴力にほかならない。「体罰」そのものからなくしていかなければならない。

(参考)
◎体罰教諭:福岡市に190万円の支払い命令(毎日新聞 2013/9/19)
◎体罰で後遺障害、福岡市に190万円賠償命令(読売新聞 2013/9/20)

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