佐賀県立武雄青陵中学校(県立中高一貫校)で、武雄市立図書館への生徒だけでの出入りを制限していた問題で、同校は12月10日、制限を一部ゆるめ、登下校中の生徒だけでの立ち寄りは容認する姿勢を示した。夜間や休日については引き続き保護者同伴での利用を呼びかける。

 この問題は、武雄市立図書館が民間委託されて商業施設風にリニューアルされ、図書館の中にスターバックスや書籍販売コーナーなどが設置されたことに始まる。学校側は商業施設への生徒だけの出入りは望ましくないと判断し、生徒だけでの立ち寄りは控えるよう指示を出した。それに対して、樋渡啓祐武雄市長が市議会で批判し、学校側はそれを受けて生徒への指示を一部修正した形になった。

 学校が校則で生徒の行動に制限を加えるのがどこまで許されるかという問題はある。その問題は独自の問題として検討されなければならない。

 しかしそれとは別個の問題として、市長が主導して、市立図書館を従来の図書館概念を否定するよう形にしたという問題があり、学校がそれへの対応として、生徒指導上必要と学校が考えて「出入り制限」措置をとることになったという経過がある。

 さらに市長がその措置を批判したため、政治介入のような形になってしまってもおかしなことになる。

 一見同じような時系列の上にあって互いに密接に関係しているような形になった問題でも、細かく見れば異なる問題が同時並行で組み合わさっているので、都合のいい側面だけをみてあれこれ言い立てるのは不適切だろう。「生徒指導として学校側がとった策が妥当か」「図書館の運営」「市長の市議会発言の妥当性」、それぞれ問題を切り分けて整理して検討が加えられなければならない。

(参考)
◎武雄市図書館は「商業施設」? 県立中が一時利用制限 [佐賀県](西日本新聞 2013/12/10)
◎スターバックスの入った図書館「制限令」を撤回 佐賀県立中、市長の批判で(産経新聞 2013/12/11)
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