岐阜県垂井町立小学校に通っていた男子児童が学校でいじめを受けたうえ、耐え切れずに抵抗するといじめは不問にされて「一方的に暴力を振るった」と扱われたために、「暴力少年」などと事実と違う風評が広まって精神的苦痛を受け転居・転校を余儀なくされたとして、被害児童と両親が1月21日付で、同町に約1100万円の損害賠償を求める訴訟を岐阜地裁大垣支部に起こした。

 両親が1月24日に記者会見し、提訴の事実を明らかにした。

 報道によると、この児童は小学校高学年だった2012年10月、同級生の男子児童複数人から取り囲まれて暴言を受け、腹や足を殴られるなどの暴行を受けるなどした。

 その際に児童が抵抗し、加害児童1人を殴り返したという。学校側は加害者のいじめ・暴力の事実は隠し、「この児童による一方的な暴力事件」と扱った。

 そのためこの児童が「暴力少年」という虚偽の風評が地域にも広がった。学校や教育委員会にいじめがあったことを公表するよう求めても放置されたという。児童の家族は、一家での転居・転校を余儀なくされた。

 いじめの二次被害が、最悪の形で現れたものだといえる。これでは学校ぐるみのいじめではないか。

 きっかけとなったいじめは不問として、抵抗すれば「一方的な悪者」扱いなど、いじめを甘んじて受けろということなのか。被害少年や家族の心の傷はもちろん、加害児童や周りの児童への教育という意味でも、大人がろくでもないことを見せつけていることになる。

(参考)
◎「暴力少年」の風評被害…男児と両親が町を提訴(読売新聞 2014/1/26)
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