文部科学省は4月8日、大学入試制度改革の一環として、人物重視評価を入試に取り入れる大学へ補助金を出す制度を創設すると発表した。


 1校あたり2000万円の補助が予定され、各大学からの申請をもとに2014年9月にも審査結果を発表することにしているという。
 意欲や適性を含めた人物評価で選抜すべきとする教育再生実行会議の提言(2013年10月)を受け、部活動やボランティア・海外留学などを入試選抜の評価とする大学を想定しているという。
 現行の入試制度が完全だとはいえず、改善の余地はあるだろう。しかし少なくとも、「人物本位」と称して、学問を学ぶ基礎的な能力とは関係の薄いことを評価基準に入れるのはおかしなことである。
 「人物本位」や意欲・適性などは客観的な評価基準はなく、選抜する側の主観・価値観によるものとなる。これでは、いくらでも恣意的な操作が可能になる。
 また受験生にとっても、選抜する側の基準に合わせるために「受験に有利」とみなされた特定の人物像に近づかざるをえなくなることになる。「人物本位」とは裏腹に画一的な人間像を生み出したり、その場を適当に言い繕う人物が有利になったりなどの危険性を生み出すことになる。これでは、真理探求の場としての大学にはふさわしくないし、社会的にも大きな損失になる。
(参考)
◎入試で人物重視評価の大学を補助…文科省(読売新聞 2014/4/8)
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