教育委員会への首長関与の拡大を軸とした地方教育行政法改定案が、5月20日の衆議院本会議で可決し、参議院に送付された。自民党・公明党などが賛成した。

 民主党や日本維新の会は、政府案よりもさらに首長権限を強化し、教育委員会制度をなくして首長が教育行政に責任を持つとする案を出したが、否決された。日本共産党などは政府案、民主・維新案のいずれにも反対した。

 改定案では、現行の教育委員長と教育長を一本化して新たな教育長を設定し、首長が直接任命するとしている。また、地方自治体の教育政策の「大綱」は、首長主宰の「総合教育会議」で首長と教育委員会の合議の上で決定されるとした。

 この間の大阪府・大阪市でやられたことを明確に合法化する形のようになっている。大阪府・市での首長介入によって、教育行政は著しく左右され、学校選択制、学校統廃合、全国学力テストの学校別成績公表など、児童・生徒・保護者や現場の教員が望んでいないことを強行される事態が起きている。そういうことが全国的にも起こりかねない。

 また教科書採択の問題についても、右派的な首長や議員が極右的な社会科教科書を政治的圧力で押し付けようと策動する動きが強まるもと、教育委員会制度の弱体化によって教科書押し付けの策動が現在より強まる危険性もある。

 教育の独立性を守るためには、教育委員会の権限は保障されなければならない。現行でも十分とはいえないもと、さらに教育委員会の権限を弱体化することは、問題ではないだろうか。

(参考)
◎教育委員会:改革法、成立へ…首長「暴走」懸念も(毎日新聞 2014/5/20)
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