東京都の渋谷駅で、母親とみられる女が幼児に暴言を吐いて蹴り倒す動画がインターネットに投稿された問題。『弁護士ドットコム』は2014年6月18日付で続報記事『女性が幼児を「蹴り倒す」動画にコメント殺到 「児童虐待」を目撃したら何をすべき?』を出した。

 この問題では、動画の存在が広まるとネット上で議論が巻き起こった。投稿者は「その場で止めさせたいとは思ったが、身の危険を感じてできなかった。警告のために動画を撮った。動画を公開することで問題提起したい」という趣旨を話しているという。

 投稿には賛否両論があるようである。私が見たものでは、母親とみられる女への批判のほか、「即止めに入って警察を呼ばないのはなぜか」などの投稿者への疑問、中には「盗撮だ」などと言いがかりのような批判まであった。

 個人的には、止められるものなら止められたのに越したことはないだろうが、止めようとして凶器などで逆襲されたり、また「痴漢」「通りすがりにいきなり暴力を振るわれた」「子どもを誘拐しようとした不審者」などと相手が嘘をでっちあげるリスクもあることを考えると、その場で止められずに動画の形で証拠を残して問題提起したという投稿者の行動は、賛否両論はあっても正当な選択肢の一つであり、少なくとも問題視されるいわれはないと感じる。

 『弁護士ドットコム』では「動画を撮影・投稿された方は、見て見ぬふりをしている人たちにくらべれば、一歩踏み込んだことをやったのだと考えていいでしょう」という意見が紹介されている。全く同感である。

 この動画がきっかけとなって、児童虐待への批判の風潮が強まり、事件防止へとつながることを願う。
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