岩手県滝沢市立滝沢南中学校2年の男子生徒が2014年5月に自殺し、背景にいじめが指摘された問題で、7月18日に保護者説明会が実施され、学校側がいじめについて言及するような発言をおこなった。

 この問題では7月上旬に学校側が遺族に対して、筆箱を隠されるなど生徒に対する行為があったことは認めながら、「遊びの延長」などとする調査結果を説明していた。

 その後複数の同級生が、この生徒が「死のうかな」などと漏らしていたという発言を聞いたと証言したことを、学校側が把握した。

 この日の説明会では、同級生の証言も踏まえ、生徒に対する行為について「いじめと疑われても仕方ない事案」と言及した。一方で生徒が死亡して本人から事情を聴けないとして、「いじめの定義の一つは、本人が心身的な苦痛を感じていること。本人が心身の苦痛を感じていたかどうかは推測しかできない」として、いじめとは明確に断定しなかった。

 出席した生徒の父親や別の保護者らからは「結果的にいじめはなかったという内容に聞こえる」という感想をもったという。

 本人から直接事情を聴けないから心身の苦痛は推測しかできない、だから断定できないというような理屈は、いじめの定義を逆手に取った屁理屈なのではないか。「疑われても仕方ない」などと回りくどい言い方ではなく、いじめがあったとはっきり断定できないのはなぜなのか、疑問に感じる。

(参考)
◎滝沢中2自殺:学校側、生徒の証言で修正 父親は不信感(毎日新聞 2014/7/20)
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