鹿児島県出水市立中学校2年だった女子生徒が2011年9月に自殺し、背景にいじめが指摘されている問題で、遺族側が出水市に対し、事件発生直後に学校が全校生徒を対象に実施したいじめアンケートの開示を求める訴訟の第2回口頭弁論が、7月29日に鹿児島地裁で開かれた。

 出水市は、アンケートの回答用紙のコピーは氏名をマスキングしても筆跡で個人が特定できる、内容をパソコンで打ち直した「結果まとめ」も学年や学級の情報などで個人が特定できるなどと主張し、不開示を求める答弁書を書面提出したという。

 この事件は2011年9月1日、始業式の日の早朝に女子生徒が行方不明になり、昼前になって自宅近くの九州新幹線の線路内で遺体で見つかったものである。新幹線を高架でまたぐ道路のフェンスに人がよじ登った跡があったこと、当日早朝に現場を通過した回送列車に血痕がついていたことから、早朝に新幹線の線路に飛び降りて通過中の新幹線にはねられた飛び降り自殺とみられている。

 女子生徒の死亡後、この生徒がいじめを受けていたという具体的な情報が、次々と集まったという。遺族側の調査でもいじめとみられる具体的な証言が複数確認され、学校側も「遺族が指摘している事案自体はあった」と受け取れるような発言をおこなっている。しかし学校・市教委は一貫していじめとは認めていない。

 学校・市教委は、生徒への二次被害のおそれなどとして、いじめ問題に関する情報開示には一貫して消極的である。

 アンケート開示を拒否する市側の主張は、反対のための反対だと感じる。

 次回口頭弁論は9月30日におこなわれるということ。遺族側の主張が認められる方向で裁判が進むことを期待したい。

(参考)
◎アンケート問題 市が書面 鹿児島いじめ自殺裁判 原告「開示を」(しんぶん赤旗 2014/7/30)
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