群馬県の私立前橋育英高校のバスケットボール部元監督(39)が、在任当時の2013年に部員に「体罰」を繰り返したとして停職90日の処分を受けていたことがわかった。元監督は「処分は重すぎる」と不服を申し立てているという。

『読売新聞』の報道によると、2013年8月中旬に学校側に「体罰」被害の訴えがあった。元監督は2013年8月末より体調不良を訴えて自宅療養し、監督を退任した。この元監督が部員をたたいたり蹴ったりするなどの「体罰」が確認され、本人も事実関係を認めたとして、2014年3月に処分が決まった。

元監督は「他県から来た部員も多く、我が子のつもりで指導した」「『体罰』の認識はなかった」などとした一方、過去の同種事案と比較して処分が重すぎると訴えている。

一方で『読売新聞』では、「体罰」被害を受けたという元部員の証言を取材し掲載している。記事に掲載された元部員の証言によると、「体育館の密室で平手で殴られ、『親には絶対言うなよ』と言われた」という。

「親には絶対言うなよ」と言いながら暴力を加えるなど、自分のしていることが保護者に知られれば都合が悪いという自覚があるということを裏付けている。そのくせ、外向けにはこの発言を隠し、「指導」と言い立ててまるで正当な行為のように振る舞うなど、言語道断といっていい。

「我が子のように指導した」と言っても、それならば虐待にも相当する行為である。この人物に子どもがいるのかどうかは知らないが、虐待宣言と受け止められてもやむをえないだろう。

また過去の事例と比較して処分が重すぎると主張しているが、それは単に過去の処分が軽すぎただけにすぎない。

この元監督の主張は特異なものではなく、「体罰」加害者、特にスポーツ系部活動指導者にはよくみられる、定番の主張のパターンである。このような主張をおこなうものがいまだにいて、しかもこのような主張がいまだに通じると思い込んでいるかのような言動をしているというのは、それだけ「体罰」問題の根が深いことを示している。

(参考)
◎揺れる名門バスケ部、元監督が体罰…処分に不服(読売新聞 2014/8/2)
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