毎日新聞の調査によると、2014年度の全国学力テストの学校別の平均正答率公表の方向で検討している自治体が、全国に少なくとも9自治体あることがわかった。

 毎日新聞2014年8月15日付『学力テスト:公表9市町村 平均正答率、学校ごとに』では、9自治体の内訳については以下のようになっている。

  • (山梨県)鳴沢村、(石川県)輪島市、(大阪府)大阪市、(岡山県)早島町・奈義町、(島根県)松江市、(佐賀県)武雄市・大町町、(沖縄県)嘉手納町


 全国学力テストについては、学校・地域の平均点を「学力のすべて」「学校や地域の格」と意図的に取り違える者により、学校間の競争や序列化を生み出すことにつながる。

 1960年代に実施された全国学力テストでは、そのような競争と序列化の弊害が加熱して数年間で中止された経緯がある。現行の学力テストでも、「点数を上げるために、試験直前には通常の授業をつぶし、予想問題や過去問を解かせる」「誤答をしている児童・生徒に対して試験監督の教員が合図を送り、答案を書き換えさせる」などの不正が報告されている。

 また県や市単位などで実施している統一学力テストでも、成績公表と一体となっているところでは、平均点が振るわなかった学校の生徒は部活動や学習塾で他校の生徒と顔を合わせた際に「馬鹿な学校」などと暴言を受ける、学校選択制での学校選択の理由となって人気校と不人気校が固定化する一因となる、成績の振るわなかった教科の担当教員が地域ぐるみの吊し上げにあって転勤に追い込まれる、などの弊害が生まれている。

 学力テスト成績公表賛成派の大阪維新の会系の市長の大阪府泉佐野市すら、府の学力テストの学校別成績を公表したところ、インターネット上で面白半分で学校別の「格付け」をされて中傷され、教育委員会が頭を抱えているという新聞記事が出されたことがある。(当ブログ2014/1/13

 このような弊害には目を向けず、公表を強行しようとするような自治体担当者の対応は、極めて疑問に感じる。
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