福岡県立高校に通っている男子生徒が、いじめに加担したとして学校から処分を受けたのは「処分が重すぎる」として、取り消しを求めて福岡県を提訴していたことがわかった。9月25日に第1回口頭弁論がおこなわれた。

 提訴は2014年7月におこなわれたという。

 『産経新聞』の記事『「いじめの処分重すぎ」 福岡の高校生が訴え』(2014年9月26日)によると、「福岡県立高校に通う男子生徒が、同級生へのいじめを理由に学校から受けた停学などの処分は重すぎるとして、県を相手取り停学とクラス変更の取り消しを求める訴訟を起こし、福岡地裁(高橋亮介裁判長)で25日、第1回口頭弁論があった」と、最低限の事実が記載されているのみである。

 「いじめに加担したと認定されたことは事実無根・事実誤認で、誤った処分を受けた」と主張するならともかく、「重すぎる」と主張している点が気になる。いじめは事実だが大したことはない、そんなことよりも自分が不当な措置を受けたと主張するつもりなんだろうか。

 一般的に言えば、いじめを理由にしての停学処分はありえるだろう。またクラス替えも、被害者と加害者が顔を合わせる機会を極力少なくし、いじめ被害を防ぎ、被害者の学校生活を保障するための手段として、必要な措置だろう。

 何らかの事件の加害者の側が、自らの加害行為・不当行為が問題になって社会的に批判されたり、被害者側への被害回復措置や加害行為差し止めなどの対策が取られると、逆に「不当な措置を受けた」と被害者面して騒ぐ事例は、社会的にも最近目立つ。

 もし「逆恨み」的に起こしたものならば、きわめて異常なことである。また原告が高校生ということは、保護者や弁護士などの経済的・心理的な支援があることになる。むしろ本人よりも保護者がヒートアップしている可能性もある。いじめを不問にして被害者面するようなことを正当化させ、無理筋の恫喝をおこなうような形になるのは、訴訟制度の乱用という意味だけではなく、子どもの教育上も良くないのではないか。

 なお以前にも、「ラ・サール中学校に在学していた当時いじめに加担して退学処分を受けたのは不当」として、いじめの事実自体は認めながらも「軽微」と主張し、処分を不服として取り消しを求めた別の訴訟があったが、それは2010年に棄却されている。
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