神戸市教育委員会は10月8日までに、「体罰」加害教員の氏名について一部のみ開示する方針を決めた。

従来は全面非開示だったが、市情報公開審査会の答申を受けて方針を一部修正した形になる。その一方で、詭弁を弄して極力非開示にしようとする姿勢も透けて見える。

神戸新聞社が2013年に情報開示請求をおこない、市教委は「体罰」事案の概要のみ開示したものの、加害教職員の氏名については全面非開示にした。それを不服として情報公開審査会に異議申立てをおこない、審査会は2014年8月、被害者が特定されると判断した6件以外の94件について、教職員氏名を開示するよう答申をおこなった。

これを受けて神戸市教委は教育委員会会議で再審議をおこない、開示はするとはしたものの、「同じ学校に通う児童・生徒や保護者らが被害児童・生徒を特定できる」などとして、担任教諭による「体罰」は非開示にできるなどとする方針を決めた。この結果、48件のみについて公開やむなしと、情報審査会答申と比較して大幅に後退している。

これは明らかな詭弁であろう。被害者が特定できるといっても、同じ学校、少なくとも同学年ならば被害者が自明のケースが多い。外部の不特定多数の人に被害者が特定できるわけではない。また担任教諭による「体罰」が非開示とすると、小学校の場合は大半の授業や生活指導などで担任教諭と接する時間が多く、担任教諭以外の教員と接する時間は少ないことから、担任教諭の「体罰」事例が多くなる。これでは隠蔽につながりかねないのではないか。

(参考)
◎体罰教員名を公開加害者が担任なら対象外神戸市教委(神戸新聞 2014/10/9)
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