鹿児島県伊佐市は、市内の鹿児島県立大口高校の定員割れ対策として、卒業生が「難関大学」とされる大学に進学した際には奨励金100万円を支給すると発表した。

 旧帝大や私立のいわゆる「難関大学」とされる一部大学に進学した生徒には100万円を、その他の4年制国公立大学や同等レベルの受験難易度の私立大学に進学した生徒には30万円を支給するという。2015年度の進学者から適用したいとしている。

 高校の定員割れを背景に、高校の活性化を図って優秀な中学生を大口高校に進学させ、市内につなぎとめるねらいがあるとしている。

 しかしこの措置は、受験の偏差値や序列を絶対視しているだけの、きわめて危険な発想である。少なくとも公立学校の教育や行政に関わるものがすることではない。

 そもそも大学は、個々の生徒が学びたい分野を学んだり、学んだことを社会に還元していくものである。受験の難易度は、大学そのものやそこに通う学生の格や序列を決めるものではない。また「難関大学」とされる大学に進学する生徒の多い高校が「偉い」「格上」というわけでもない。

 特定の大学を「難関大学」に指定して、その大学に進学する生徒・進学を志す生徒を特別に扱い、特定大学への進学者を増やすことを目指すのは、高校の教育を受験一辺倒にゆがめるものである。

 きわめて問題のある措置であり、撤回すべきではないか。

(参考)
◎難関大進学なら100万円、大口高活性化へ奨励金(読売新聞 2014/11/13)
◎鹿児島・伊佐市、大学進学に特典 定員割れ対策で難関校百万円(中日新聞 2014/11/13)
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