大阪市教育委員会は12月9日、児童・生徒への「体罰」について、処分を厳格化する方針を決めた。

新しい基準では、生徒に非がある場合・ない場合に分け、非がある場合は校長注意から減給1ヶ月までの5段階、「部活動中のプレーミス」など生徒に非がない場合には戒告から停職1ヶ月までの5段階で処分を検討するとしている。

「体罰」は暴力であり、根絶の取組みが必要である。しかし気になる点もある。

大阪市では2012年、市立桜宮高校の生徒がバスケットボール部顧問教諭(当時)からの暴力を苦にして自殺した事件があった。橋下徹大阪市長はもともと根っからの「体罰」肯定派にもかかわらず、もうひとつの持論である教育現場への主張介入のために事件を最大限利用し、学校現場に混乱を持ち込んだ。「体罰」問題はどこかに追いやられ、学校の生徒というだけで「共犯」扱いしたことで、生徒が心無い人物から攻撃や嫌がらせを受けたり、同名の無関係の学校にまで嫌がらせがおこなわれるなどした。入試中止などという見当違いの対応をったことで受験生や中学校も混乱に陥れた。この事件の民事訴訟では、大阪市は「体罰」と死亡との因果関係を認めず争う態度を示している。

このことを考えると、根絶の一環として処分を厳格化するという視点にはたっておらず、パフォーマンス目的でただ厳格化すればいい・それ以外の根絶の取り組みはどうでもいいという発想ではないのだろうかと気になる。

(参考)
◎体罰処分、生徒に非がなければ重く…大阪市教委(読売新聞 2014/12/10)
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