東京都は12月22日、東京都環境確保条例について、子どもの声を「騒音」扱いしないよう明示する方向で改正する方針を固めた。都民から改正案の意見を募った上で、2015年2月の都議会にも提出したいとしている。

 子どもの話し声など子どもが出す音について、条例の「何人も規制基準を超える騒音を発生してはならない」を根拠として、トラブルや訴訟になる例も発生しているという。

 このため、就学前の乳幼児の話し声や楽器・遊具の音などについては、条例での規定から除外する方向で検討している。一方で保育所などの空調機室外設備の音や、送迎の保護者の話し声などについては、現行どおり騒音規制の対象とし、改正時には必要と判断すれば施設管理者に是正勧告もできるようにするという。

 近年、「騒音」などを根拠にして、幼稚園や保育所の新設反対運動が起きたり、近隣住民が保育所を訴える訴訟も相次いで報道されている。

 一般的に言えば騒音対策の取組みは進めていく必要があるだろう。しかし、騒音対策を口実に子どもの声が「騒音」扱いされて、まるで子どもの存在が迷惑であるかのように扱われたり、幼稚園や保育所が「迷惑施設」扱いだと、子どもを健全に育てられる環境とは言いづらい。

東京都の取り組みは、子どもが社会の中でのびのびと育つ環境にしていくための、ひとつの模索といえるのではないだろうか。 

(参考)
◎子どもの声を「騒音」規制対象外に 東京都が条例改正へ(朝日新聞 2014/12/22)
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