熊本県熊本市の私立開新高校空手部で2007年7月に発生した部員重体事故について、熊本簡裁は1月8日付で、業務上過失傷害罪で顧問教諭に対して罰金50万円の略式命令を下していたことがわかりました。

当該教諭は1月23日までに罰金を納め、命令が確定したということです。

事故は2007年7月10日から翌11日にかけて起こりました。7月10日の練習中、当時1年生だった部員の男子生徒は練習中に突きを受けて脳しんとうを発症しました。しかし指導していた顧問教諭は、生徒の異変に気づきながらも、事故直後に走り込みをおこなわせるなどしました。

さらに翌11日、生徒が体調不良を訴え「病院を受診したいから練習を休ませてほしい」と顧問教諭に申し出ました。しかし顧問教諭は病院受診を妨害し、練習に参加するよう強要して平手打ちするなどしました。生徒は平手打ちの直後に意識を失って倒れましたが、顧問教諭は約40分にわたって生徒を寝かせるだけで放置しました。約40分後、たまたま異変に気づいた別の教職員が救急車を呼びましたが、生徒は急性硬膜下血腫を発症して重度の後遺症が残りました。被害生徒はその後、退学と養護学級への編入学を余儀なくされました。

最初の脳しんとうは不慮の事故でしょうが、事故直後に適切な対応をしていれば軽症で済んだ可能性が高く、こんな重大な症状にはつながらなかったといえます。教諭の対応が症状悪化につながったということは、素人でも容易にわかります。しかも練習に参加させるために平手打ちするなど、常軌を逸しています。

業務上過失傷害罪での立件は当然ですが、一方で生徒の状況を考えると刑事処分は軽いのではないかとも感じます。

また部活動や学校の教育活動中には、元の事故は「適切な対応をすれば防げた・もしくは被害は最小限で済んだ」と考えられるものでも、いわゆる「根性主義」で症状を悪化させて重大な結果を招くというものも、この事件に限らず頻発しています。こういう事故が起きないように、過去の事故の事例から学んで教訓化していかなければなりません。
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