鹿児島市のラ・サール中学校に在学していた当時いじめに加担したとして自主退学を勧告され、退学を余儀なくされたのは違法として、福岡市在住の元生徒(現在15歳)がラ・サール学園に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は8月9日、原告の請求を棄却する判決を出しました。


 元生徒は中学校1年だった2007年、同級生2人(いずれも自主退学)とともに、別の同級生の体を押さえつけて下半身をくすぐるなどのいじめ行為を複数回繰り返したといいます。
 いじめ行為が発覚し、学校側は自主退学・転校を勧告しました。そのため生徒は自主退学したといいます。
 生徒側は「問題の行為は軽微。処分は不合理で裁量の範囲を逸脱している」といいます。判決では「行為はいじめとして被害者の尊厳を傷つける重大なもの」として、学校側の裁量権逸脱はないと結論づけました。
 判決は妥当です。被害者のことを考えれば、学校側の措置は正当です。
 仮にいじめ自体が事実無根や誤認と主張しているのならば提訴もわからなくもないですが、いじめの事実を認めながら「軽微」などと主張しているとは、被害者のことなど一切考えていないきわめて身勝手な主張です。まさにいじめ加害者の論理です。
 また生徒本人の年齢から考えると、本来冷静に対応すべき立場の保護者はじめ周囲の大人が煽って訴訟にまで至ったことになり、周囲の大人の責任は重大です。いじめ行為を注意・指導するどころか、逆にきっかけとなったいじめを不問にして「自分たちが不当な不利益を受けた」かのように逆ギレしてクレーマー並みの屁理屈で騒ぎ立てることは、生徒本人の成長にとってもよくありません。
 原告側は控訴する方針だといいます。しかしこんな恥知らずな控訴があっていいのか、きわめて疑問に思います。ある意味、訴訟制度の濫用に近い状況ではないかといえます。
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