京都市立中学校で運動部顧問を務めていた当時、マッサージと称して部員の女子生徒の体を触ったりわいせつな写真を撮影するなどしたとして、準強制わいせつと児童ポルノ禁止法違反(製造)などの罪に問われた男(36)の判決公判が11月18日におこなわれました。


 検察側は懲役8年を求刑しました。一方で弁護側は「社会的制裁を受けている」として寛大な判決を求めたということです。
 社会的制裁という主張自体、何を言っているのかという感じです。男は懲戒免職になったということですが、当然の手続きが粛々と進められただけにすぎません。例え不利益を受けたとしても自業自得というほかはなく、当然の措置に対して社会的制裁という言葉をもてあそんで「過剰な不利益を受けた」かのように印象づけようとするのは許されません。
 また、判決公判を報じる新聞記事ではこの男の実名は出ていません。一般的には何でもかんでも実名報道すべきではないとはいえるでしょうが、教師が職務上の立場を悪用して児童・生徒に危害を加えた事件については立場を悪用した一種の権力犯罪であり、一般論の範疇には収まりません。この男については実名報道すべきでした。
 マスコミでは一般人が個人的に起こした事件や、またたまたま職業が教員だったとしても学校外で個人的に起こした事件については、比較的小さなものでも実名報道したがります。また犯罪被害者の名前も実名報道したがります。その一方で、教師が教え子に危害を加えた事件については、なかなか実名報道しようとしません。
 本来なら、犯罪被害者は当然匿名報道にすべきですし、個人的な犯罪の被疑者・被告は一定範囲内で匿名報道でもかまいませんが、教師が児童・生徒に危害を加えた場合は原則実名報道すべきなのではないでしょうか。現状では、マスコミの実名報道・匿名報道の判断基準は逆になっていると感じます。
 事件そのものについても、被告の行為はきわめて悪質なものです。被害者のことを考えれば実刑相当でしょう。適正な判決が下されることを望みます。
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