群馬県立高崎商業高校のバレーボール部で顧問教諭から日常的な暴行を受けた上、顧問に触発された別の部員にいじめられるようになり、不登校になって転校を余儀なくされたとして、同校の元女子生徒が群馬県などを訴えている訴訟の口頭弁論が、11月19日に高崎地裁でおこなわれました。

群馬県は暴力問題の事実は認めたものの、法的責任を負うようなものではないと主張し、請求棄却を求めています。
西口元・裁判長は事件について、暴力問題については群馬県も当該教諭に懲戒処分をおこなっていることを指摘し、「私が被告側代理人だったら、責任はないなどとは恥ずかしくて言えない」「県としては一部責任を負わざるを得ないでしょう」などと発言して、裁判での争点をいじめ問題に絞ることを提案したということです。また裁判長は、被害生徒の精神的ケアに踏み込むような発言を繰り返したといいます。
この提案は、暴力問題での県の責任は免れず、仮に争い続ければ県などの責任を認める判決を出すことになるだろう、ということを暗に示していると受け取れます。
被告側代理人の弁護士はその場では反論しませんでした。一方で口頭弁論直後のマスコミによる群馬県教育委員会への取材では「代理人から口頭弁論の状況について現時点では報告を受けていない」と前置きした上で、「民事責任はないという主張に変わりはない」と主張したということです。
母親は閉廷後マスコミ取材に応じ、「(裁判長の言動は)群馬県桐生市立新里東小学校の自殺事件が影響しているのではないか」「教育委員会は保身などではなく、子どもや家族の気持ちにたって対応してほしい」などと話したといいます。
裁判は、少なくとも暴行問題に関する部分では、原告側にとってかなりよい結果になる可能性もあるのではないかという印象も受けます。群馬県教育委員会は早期和解の手段を探ることも含め、早急に責任を認めて被害者を救済すべきでしょう。
(参考)
◎体罰いじめ訴訟 「県は一部責任負うべき」裁判長発言 精神的ケアも求める(読売新聞・群馬版 2010/11/20)
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