横浜市教育委員会は1月19日までに、すべての横浜市立高校で2010年度より日本史を必修とする方針を決めました。


 管内の全公立高校での日本史必修化は、すでに神奈川県教育委員会が2013年度より導入することを決めています。横浜市立高校での導入は、神奈川県立高校に先立って全国初の本格実施となります。
 横浜市教委では「自国の歴史や伝統、文化を正しく理解することが必要」として日本史必修化を決めました。
 現行の学習指導要領の地理歴史科では世界史が必修となり、日本史は地理との選択となっています。また次期学習指導要領でもこの枠組みが継承される見通しです。
 幅広く知識を身につけ社会に対する複合的・多面的な理解を図るという意味では、日本史に限らず多くの科目を幅広く学べるようにしていくことは重要だといえます。その意味では可能な限りカリキュラムに組み入れた方がよいとは思いますし、学校の判断で日本史を必修化することもありえるでしょう。
 一方で日本史必修化には、別の意図も絡んでいるのでややこしくなります。国粋主義的で偏狭なナショナリズムを図る立場から必修化を求める声もあります。また、大学受験では世界史と比べて日本史を受験科目として選択する受験生が多い傾向があるとして、世界史よりも日本史を必修化した方がいいという声もあります。同じ日本史必修化でも、これらの意図からくる主張には賛同できません。
 また行政が一律に方針を決めることで、学校の教育課程編成権にも影響を与えるのではないかという問題もあります。
 いろいろと問題や不安点などを抱えているとはいえども、問題を乗り越えられるような教育実践が進んでいくことを願います。
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