北海道千歳市立中学校1年生の女子生徒が2008年6月、学校でのいじめを苦にして自殺を図り、意識不明の重体が続いている問題があります。


 このいじめ自殺未遂問題は2009年2月中旬に各マスコミで報じられて明らかになりました。毎日新聞(北海道版)2009年2月28日付『千歳中1重体:市教委の対応後手 不信感募る両親』が、事件の続報を報じています。
 この間の事実関係については、同記事の報道によると以下の通りになっています。
 女子生徒がマンション11階の自分の部屋の窓から飛び降りたのは昨年(※当ブログ注:2008年)6月19日。その数日前、両親に「ウザいと言われた」「ばい菌扱いされた」と同級生からいじめを受けていることを訴えていた。学校側は生徒や教諭からの聞き取り調査で女子生徒が6月16日に「ウザい」と言われていたことをつかんだが、12月21日に「いじめの有無は判断できない」とする報告文書を両親に手渡した。
 この間、市教委は対応を学校側に任せ、両親とも面会しなかった。不信感を募らせた両親は(※当ブログ注:2009年)1月15日、道教委に再調査を依頼。道教委は市教委に両親との面会を促したが、市教委が両親から直接、話を聞いたのは1カ月以上たった2月25日。両親から同級生らの再調査を求められたが回答を保留している。後手に回る市教委の対応に女子生徒の父親(51)は「娘の命とはかりにかけている何かがあると思わざるをえない」と怒りを隠さない。

 明らかにいじめをうかがわせる兆候があるのに事実関係を隠す――これまでのいじめ問題でも多くみられたことだとはいえども、このような対応がまたとられたことには改めて不快感を感じます。記事では「市教委や学校の対応の不手際が両親に不信感を抱かせる形になっている。」と穏当な表現になっていますが、「不手際」などという甘いものではなく意図的な隠蔽ではないかと疑います。
 今までの類似事件の展開から、加害者や学校が「自称『被害者』に不当に絡まれた被害者」かのように振る舞う一方、学校周辺や地域住民などから「被害者が騒ぐのが悪い」かといわんばかりの悪質な中傷が広がることにつながっていく危険性が高いことは目に見えています。こういうふざけたことは決して許されることではありません。
 いじめの事実関係を隠蔽することが、被害者の尊厳よりも重いとでもいうのでしょうか。
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