埼玉県教育委員会は3月18日、全国学力テストの市町村別成績について市町村名を伏せた形で部分開示する方針を決定しました。


 開示は2007年度実施のものとなるということです。また、市町村別の正答率と正答数を開示対象とするということです。県民の情報公開請求を受けて開示することを決定しました。
 この問題では埼玉県教育委員会は当初、「実施方法への信頼が失われる」「過度の競争につながるおそれがある」と主張して開示に難色を示していました。しかし、埼玉県情報公開審査会が2008年12月「おそれは具体的ではない」と判断しました。
 しかし根拠のない「恐れ」ではなく、過度の競争が現に起こっていることは、他県での例を見れば具体的な形で明らかになっています。地域独自の統一学力テストが実施され、各自治体別・学校別の成績が開示されている地域もあります。そういう地域ではテストの地域・学校平均点向上をそのまま「学力向上」と短絡的にすり替えた「対策」がとられ、通常の授業はそこそこにテスト過去問・類題の練習に時間をかけるなど、日常の教育活動に支障が出ています。学校選択制とセットになっている地域では、人気校と不人気校の格差ができ、その結果人気校では過密化・不人気校では児童生徒の極端な減少の形で教育条件が低下しています。
 開示では、埼玉県でもそういう状況を発生させかねません。
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