京都府内で発生した児童虐待事件について、京都府が「児童相談所業務外部評価委員会」を設置して検証したところ、家族の転居に伴って担当者も変更し体制に隙間ができたことや、加害者との関係性を重視するあまりに事実関係の調査が後手に回っていたことなどの課題が浮き彫りになりました。


 同委員会が2009年4月までに報告書を発行しました。
重大児童虐待を検証 京都府外部評価委が報告(京都新聞 2009/4/19)より一部を引用
 報告書によると、昨年2月に八幡市で母親らが虐待し女児(4)が衰弱死した事件では、家族が同市内に転居し、担当の保健師や民生児童委員が変更したため、「地域の見守りの連続性にすき間が生じた」という。
 家庭訪問できょうだいの安否は確認したが女児に会えなかったり、母親から「前夫の虐待があった」と説明を受けても「それ以外特に気にする状況がない」と育児支援で対応すると決めたこともあった。
 また、別の1歳の児童が身体的虐待を受けた案件では、通報後に保育所が担当すると決めても、親との信頼関係維持に重点を置き、夜間に家の明かりを見るだけで帰るなどし、約1カ月間、安否を確認できていなかった。
 昨年9月に京丹波町の私設更生施設で起きた入所者への傷害事件では、施設職員と切り離した児童への面接などができず、結果として実態を把握できなかった、と指摘した。  児童虐待(児童福祉と学校教育の違いはありますが、学校でのいじめや、教師の暴力・いじめについても本質は同じ)については、事件の兆候を発見した時点でかなり状況が進行していることが経験則といえます。
 また虐待をする親、そして児童関連施設の職員(学校教育での暴力教師・生徒いじめ教師も含む)は、事実関係が明らかになっていても平気で事件を隠蔽しようとしたり、また「正当な行為を問題視するのが悪い。したがって事件は事実無根の冤罪」などというすり替えをおこない、被害者側やその支援者に逆恨みして悪質な攻撃を加えたりすることも珍しくありません。しかし、こういう事件ではウソ事件をでっちあげる動機も利益もありませんし、仮に本当に被害を受けたときに被害を訴えただけでも加害者や第三者から悪質な二次攻撃が加えられることも多い現状では余計に事件をでっちあげるメリットもありません。
 京都府の評価委員会は「転居後の引き継ぎ徹底▽日常会話から家庭内の状況を聞き出す技術の向上▽虐待をする親は真実を隠すとの認識を持つ▽子育ての苦労に寄り添う対応-などを求めた」と指摘しています。指摘は妥当だといえます。
 ただその指摘に対して、実際の現場でどれだけ実効性を持たせた対応ができるのかが、今後の課題となってきます。
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