北海道千歳市で2008年6月、当時中学校1年生のいじめを苦にする書き置きを残して自殺を図り、現在も意識不明の重体が続いている問題があります。この問題について毎日新聞がその後を取材し、記事にしています。


 記事は『いじめ自殺未遂:千歳の女子生徒 意識帰らぬまま明日14歳に』(毎日新聞・北海道版 2009年5月10日付)。
 この問題では同級生がいじめに気付き、教諭に訴えていたといいます。しかし学校側は「いじめの有無は判断できず、原因は特定できない」という姿勢を崩していません。また家族が再調査を求めているものの、学校や千歳市教育委員会は拒否し続けています。
 この手の事件では、「いじめの有無は判断できない」ということにしなければ都合が悪いという思惑が先にあり、教育委員会や学校はそれに合わせた結論を強引に作っていく傾向があります。こういう傾向は、全国のいじめ事件ではよく見られます。しかしこういった行為は、いじめ被害者に二次被害を与えることにほかなりません。
 いじめの被害者が何重にも傷つけられる一方で、事実関係の解明があやふやにされることで結果的に加害者の悪事は不問にされ加害者は手厚く擁護される、下手をすれば加害者が「マスコミ報道やそれを鵜呑みにして追随する俗物などから一方的につるし上げられた自分たちこそが、人権侵害の被害者」かのような厚顔無恥の振る舞いまで公然とおこなう、こんなことがまかり通っていていいはずがありません。
 いじめ自殺(未遂含む)が指摘される事件では、何の根拠もなく「いじめ」と決めつけて騒いでいるわけではありません。いじめがあったという強い根拠があるからこそ問題になるのです。
 生徒や家族のこと考えれば、とるべき道は一つしかありません。再調査をおこない、いじめの全容を徹底的に解明していくことしかありません。
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