脳性マヒで体が不自由なために車いす生活を送っている奈良県下市町の女子生徒(12)が、地元の下市町立中学校への就学を希望したが断られたのは不当だとして就学を求めている問題で、奈良地裁で6月15日、当事者双方に意見を聞く審訊がおこなわれました。


 その結果和解は成立せず、奈良地裁が決定を下すことが決まったということです。
 生徒は小学校卒業後の2009年4月より養護学校に籍を置き、養護学校からの訪問教育を受けています。奈良地裁は6月上旬、生徒同伴で中学校の現地視察をおこない、生徒や保護者は「(中学校の施設の使用は)大丈夫」という見解を示したということです。
 一方で町教委は、学校が傾斜地に建っていること・施設面での危険やバリアフリー対応の予算がないことなどをあげ、就学は困難という姿勢を崩していません。
 奈良地裁は和解をすすめてきましたが、結果的に不成立に終わりました。
 心情的には、今すぐにでも就学させてあげるのが望ましいのではないかとは感じます。一方で町教委側の主張についても、わからなくもありません。
 争点のひとつとなっている施設面の問題については、生徒側は「大丈夫」、町教委側は「難しい」と判断が割れています。一般的・理論的な問題としては、障害を持つ生徒の有無に関わりなくバリアフリー対応の校舎を設計・建設していくべきなのでしょう。しかし、新築・建て替えやバリアフリー対応工事がすべての学校・校舎ですぐにできるというわけでもないことも事実でしょう。
 地裁がどのような判断を下すのかはわかりません。しかしいずれにしても、早期の解決が求められます。
(参考)
  • 和解せず地裁決定に - 両親、早期解決期待【下市就学訴訟】(奈良新聞 2009/6/16)
  • 奈良・下市、入学拒否訴訟…12歳少女、学ぶ場は(読売新聞 2009/6/13)

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