毎日新聞(京都版)2009年7月26日付『追跡京都2009:虐待防止へ苦闘する児童相談所 難しい親子の「再統合」 /京都』では、児童虐待に対応する児童相談所の状況を記事にしています。


 記事では一時保護した子どもを親元に帰し、離れた親子を再び一緒に暮らせることを目指す「家族再統合」の難しさに重点をおいています。
 一時保護については、現状では虐待被害児童を十分に救い切れていないとはいえども、少なくとも関係者が強力な手段をとることのできるような法的な裏付けはできています。
 その一方で保護を解除し、親元に帰す判断は一時保護以上に困難だということです。京都府内の児童相談所が扱った事例でも、「虐待で一時保護した児童を、家庭の観察や試験外泊などを経て『親元に帰しても大丈夫』と判断した。しかし親元に帰した直後、児童は虐待で死亡した」という事件もあったということです。
 家族再統合の過程は、家庭の観察・保護者との面談や反省を促す指導などの成果を総合的に判断し、児童相談所の判断によっておこなわれるということです。記事では、一人一人の職員が虐待事例をいくつも抱えているために十分な対応ができなくなっている、人員強化で過剰負担解消が必要ではないかということが指摘されています。
 家族再統合の判断を誤ると取り返しの付かないことになります。児童相談所を責めるのは簡単なのかもしれませんが、現状の体制では家族再統合の判断ミスも構造的に起こりえるでしょう。
 一時保護が必要な児童の保護さえ十分でないうえに、一時保護した児童についても家族再統合のタイミングを誤ってしまう、これでは虐待を受けた児童は救われません。やはり人員強化も含む児童相談所の体制強化によって、一つ一つの事例をじっくりと分析して的確な判断ができるようにしていかなければならないでしょう。
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