岩手県大船渡市のスポーツ少年団の少年野球チームに所属していた小学校5年生の男子児童(2009年現在は中学校2年生)が「2006年8月の遠征参加中に、ほかの児童が振り回した傘が右目を直撃して失明した」として、傘を振り回した児童2人と引率者ら計10人を相手取り、計約7700万円の損害賠償を求める訴訟を、2009年11月までに盛岡地裁に起こしていたことがわかりました。

 2009年11月11日付の『朝日新聞』『毎日新聞』(いずれもweb版)が報じています。

 記事を総合すると、原告側の主張する事実関係は以下のようになっているということです。
 2006年8月5日午後6時頃、遠征の宿舎となっていた岩手県雫石町の旅館の室内で、複数のチームメイトが折りたたみ傘を振り回して「野球ごっこ」をしていた。チームメイトが傘を振った際に傘の先端が抜けて飛び、原告児童の右目を直撃した。原告児童は右目を失明し、また左目も視力低下の被害を受けた。

 事故発生当時、引率の監督ら4人は別室で飲酒中だった。また事故直前には、チームメートが別の折り畳み傘を振り回して先端が抜けて飛ぶ別の事故もあった。


 原告側は「直前にも同様に傘が壊れる問題があったことから、危険性は予測できた」と主張しています。また引率者については、飲酒していたことで注意義務を果たさなかったと主張しています。一方で引率者側は飲酒の事実を認める一方で、注意義務を果たしていたとしています。

 傘を振り回した児童の行為が問題になるという意味ではもちろん、指導者の管理責任という面でも問われなければならないでしょう。また『朝日新聞』では「遠征の自由時間にチームメートらから強要されて折りたたみ傘を使った野球ごっこに参加」と、原告児童へのいじめがあったことを示唆するような表現になっています。報道されている範囲内では何とも言えない面があるのですが、いじめについても解明されていかなければなりません。

(参考)
◎男児失明 スポ小でいじめか/大船渡(朝日新聞 2009/11/11)
◎賠償提訴:傘が直撃し失明 監督らに7700万円 盛岡(毎日新聞 2009/11/11)
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