厚生労働省は、保育所の待機児童緩和のため、待機児童の多い都市部に限り保育所の面積基準を緩和し多くの児童を受け入れ可能とする方針を決めています。


 一方で保育関係者や研究者などからは「保育の質の低下につながる」という指摘がされています。
 『読売新聞』2009年11月22日付『都市部の保育所 面積基準緩和…「すでに満杯」現場困惑』が、都市部の保育園の実情をリポートしています。
 記事によると「現状でも詰め込みは限界で、既存保育所だけでは受け入れ不可能」という現場の声が紹介されています。
都市部の保育所 面積基準緩和…「すでに満杯」現場困惑』より
 全国私立保育園連盟(東京)常務理事の木原克美さんは「今の基準はすでに緩和を重ねている。既存の保育所には子どもを受け入れる余地はない」と指摘する。1998年2月の厚労省局長通知は「待機児童がいる場合には年度当初で定員の15%、年度途中では25%まで受け入れられる」、2001年3月には「10月以降なら25%を超えても構わない」としているからだ。
 大阪市内の私立保育園長は「多くの子どもを預かれるよう努力した結果、10月以降は定員20人のところに28人ほど入り、保育室以外に共用のホールなどを加えてぎりぎり面積基準を守っている。これ以上の詰め込みは無理」と打ち明ける。

 保育所については2000年代以降規制緩和が進みました。その一方で規制緩和後詰め込み状況が進んでいることが浮き彫りになっています。また規制緩和後に事故が増加しているという調査結果もあります。
 また子どもたち自身にとっても保育所は生活の場でもあり、よりよい環境下での保育が求められることはいうまでもありません。可能な限り保育所の条件を向上させていきながら、待機児童解消の方策も両立させることこそが必要だといえます。
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