予備校の教材に著作等を無断使用されたとして、作家ら20人が3月11日、「河合塾」や「東進ハイスクール」の経営元をそれぞれ相手取り、損害賠償や差し止めなどを求める訴訟および仮処分申請を起こしました

 河合塾の独自教材に作家の著作が引用されていたことや、自らの著作が引用された入試過去問題が東進ハイスクールのサイトに掲載されたことなどが「著作権法違反に当たる」と原告側は主張しています。

 教育機関での教材・入試問題作成などの際には著作権法の例外規定が適用され、一定の条件を満たす範囲での無断引用は可能とされています。一般には、営利企業の場合は著作権法の例外規定が適用されずに一般の手続きが準用されると解釈されます。ただ予備校や学習塾内部での独自教材・模擬試験問題等はグレーゾーンとなり、以前にも学習塾の内部教材をめぐる訴訟が起こされたことがあります。

 著作権者の権利を守るのは当然の前提です。著作権法上の例外規定が予備校の内部教材などにも通用するのかどうか、という裁判所の判断がポイントになるのではないかと考えられます。

(参考)
作品無断使用:作家や学者らが河合塾を賠償提訴(毎日新聞 2008/3/11)
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