千葉市立小学校で2002年、自習時間中に同級生が振り回したベストが当たってけがをしたとして、当時3年生だった女子児童と保護者が「担任教諭が教室の監督を怠っていた」などとして千葉市に対し損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁は4月18日、市に賠償を命じた二審判決を破棄し、担任教諭には過失はなかったと結論づけて損害賠償請求を棄却しました。

 事故は2002年5月、自習時間中に発生しました。同級生の児童は着ていたベストにほこりが付いたとして、ほこりを落とすためにベストを振り回しました。運悪く、ベストのファスナー部分が女子児童の目に当たってけがをしたということです。事故発生当時、担任教諭は教室にいましたが、別の児童に対応していたということです。

 最高裁では、「ベストを振り回した児童には普段は問題行動がみられなかったので、事故は予見不可能」「ベストを振り回した過程も不自然ではない」などと判断しました。また教諭がほかの児童に対応していたことで、注意義務はあったとまではいえないと指摘し、教諭の過失を否定しました。

 判断が難しい問題だとはいえますが、裁判で事実認定された事実関係に基づけば、学校で起こった事故という意味ではそれなりの道義的問題はあるのかもしれませんが、教諭の過失というには酷ではないかと感じます。それ以上に、被害児童側が裁判にまで踏み切らざるを得なかった過程について何があったのだろうか、初期対応でよほどこじれたのだろうか・それとも同種事件への問題提起の意味を込めた訴訟だったのだろうかということが気になります。
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