『産経新聞』によると、扶桑社と絶縁して別の出版社から歴史教科書を出すことを決めた「新しい歴史教科書をつくる会」が、扶桑社に対して2009年度以降の同会発行教科書の発行差し止めを求める訴訟を東京地裁に提訴したということです。


 「つくる会」側は「著作権の大半は自分たちが持つ。発行するというのならば我々が関与した箇所を削除せよ」と主張しています。一方で扶桑社側は「教科書は共同著作物で、著作権についての『つくる会』側の主張は該当しない。(1度採択された教科書は4年間継続採択されることなどを理由に)継続発行する」として争うということです。
 「つくる会」が扶桑社から教科書発行を断念した背景には、「つくる会」内部の主導権争いによる内紛がありました。扶桑社は「つくる会」反主流派が新たに設置したグループと手を組むことにしたため、「つくる会」は扶桑社から撤退しました。「つくる会」は自由社から同趣旨の教科書を発行することを目指しています。また扶桑社も、日本教育再生機構(元「つくる会」反主流派)の手による反動的・右派的な教科書を発行することを目指しています。
 「つくる会」にしても扶桑社にしても根本的な問題点は共通で、単なる「仲間割れ」に過ぎません。出版の是非以前にこんな教科書自体がいらないのだから、身も蓋もない言い方をすると「つぶし合ってくれて結構」とでもいうべきでしょうか。
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