大阪府教育委員会作成の中学校英語補助教材の例文として、「My name is Toru Hashimoto. I work hard for people in Osaka.」(私は橋下徹です。大阪の人々のために一生懸命働いています)という文章が提示され、「橋下徹」を主語とする三人称単数現在の英文に書き換えるよう求める練習問題が記載されていたことが、2015年1月8日付新聞各紙で相次いで報道された。

 この問題は、当ブログ2015年1月6日付でも記事にしていた。1月8日付各紙報道記事によると、1月6日に大阪府教育委員会に電話で連絡があり、府教委は不適切として、インターネット上で公開されていた当該部分を削除し、教材の差し替えを検討しているとのこと。

 問題の教材は橋下徹氏が大阪府知事時代の2008年から2010年にかけて、指導主事らが作成したとみられるという。例文や練習問題では芸能人などの有名人を題材に取り上げていたことで、その流れで橋下徹氏の名前を出したのかもしれないとしている。橋下氏は作成に関与していないとし、府教委のチェックが甘かったとしている。

 不可解である。社会科の教材に対して、時事問題など社会的に大きく意見がわかれる内容を題材に取り上げようとする際には過剰反応するような教育委員会が、英語教材の例文で現役政治家の名前を出し、しかも「大阪のために一生懸命働いています」と肯定的評価を伴うことを書くのを、誰もチェックできないというのも不自然である。

 しかも、同じ練習問題中の他の例文は「イチローです。アメリカで野球をしています。シアトルに住んでいます」「仲間由紀恵です。女優です」といった差し障りのないもので、わざわざ「大阪のために働いている」と政治的評価に類すると取れることを付け加えている橋下の例文の異常さが浮き上がる。

(参考)
◎英語教材の例文に「橋下徹」 大阪府教委、公開中止に(朝日新聞 2014/1/8)
◎大阪府教委:「橋下徹さんは働き者」英語教材例文で(毎日新聞 2014/1/8)
◎教材に「橋下市長は一生懸命働く」…大阪府教委(読売新聞 2014/1/8)
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