福岡市の公立福岡女子大学に入学願書を提出したが男性であることを理由に受理拒否されたことは男性差別にあたり違憲として、福岡県在住の20代男性と代理人が1月19日付で、大学側に不受理処分取り消しや66万円の損害賠償を求め、福岡地裁に訴状を送付した。

 この事案は、原告側が提訴の意向を固めた2014年11月の時点でも、大きく報じられていた。(当ブログ2014年11月14日『国公立女子大は違憲と男性受験生が提訴する方針を固める』)

 このニュースが報じられると、残念なことだが、原告男性をまるで面白半分で騒ぎを起こしているような悪趣味な人間扱いで非難するような意見も、ネット上では見られた。

 先日のエントリでは触れられなかったものの、後日報じられた情報を補足すると、原告男性は栄養士志望で、志望する分野が学べる近場の国公立大学はここしかなく、私立や遠隔地だと経済的に困難だという。

 男性というだけで進路が大きく閉ざされるのならば、性差別にあたる可能性もあるだろう。また学びたい分野が自分には非のないような理由で学ぶことを阻害されるというのは、学習権としても問題なのではないか。

 2014年11月15日付朝日新聞『「公立女子大行きたい」男性、出願不受理は違憲と提訴へ』での有識者の見解を引用する。
■「女性だけに受験資格」合憲性に疑いの可能性も
 津田塾大の武田万里子教授(憲法学)の話 国公立女子大の違憲性を指摘するような議論はあった一方、「誰が裁判を起こすのか」という点で現実味がなかった。女性が少ない分野に女性を増やすという目的の学部であれば、女性だけに受験資格を認める対応を「積極的な差別是正措置」として一時的に認められてもいいかもしれない。だが、栄養士といった女性も多い分野の場合、合憲性への疑いが生じる可能性もある。

■女性の自立高める役割果たしてきた
 京都大大学院の伊藤公雄教授(社会学)の話 本来なら性別の制限はないほうがいいが、女子大は「女性の自立」を高める役割も果たしてきた。女子大でも、大学院レベルでは性別規定を設けていないのがほとんど。女子大も、これからは多様な学生を受け入れていくことが求められるのかもしれない。
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