滋賀県守山市のキャンパスで学んでいた平安女学院大学の学生に対して、2005年4月から守山のキャンパスを閉鎖して大阪府高槻市の高槻キャンパスに統合し、在校生も含めて高槻での就学に変更した問題がありました。

 それに対して在校生が異議を申し立て、卒業まで守山で学べるよう求めて大学を提訴した「就学権訴訟」が争われていました。

 1審・大津地裁(2005年5月)、2審・大阪高裁(2005年9月)ともに、原告学生側の主張は認められませんでした。原告側は最高裁に上告して争っていましたが、最高裁は上告を受理せず、原告学生側の敗訴が確定したということです。
最高裁、上告受理せず 平安女学院大就学権訴訟(『京都新聞』2006/2/11)

 平安女学院大びわ湖守山キャンパス(滋賀県守山市)の高槻キャンパス(大阪府高槻市)への統合をめぐり、在学生が学校法人・平安女学院(本部・京都市)を相手に、卒業まで守山キャンパスで就学できるよう求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は10日までに、学生側の上告を受理しない決定をした。大学側の勝訴が確定した。
 訴えていたのは、学生有志でつくる「守山キャンパスの存続を守ろうの会」代表で、同大学4年の川戸佳代さん(22)。大阪高裁が昨年9月、「守山キャンパスに特定して就学する権利を与えた契約は認められない」として、一審の大津地裁判決に続いて原告の訴えを棄却したため、上告していた。
 川戸さんは「全国の私立大でも同じようなことが起こりつつあり、今後も何らかの形で私立大の社会的な責任を追及していきたい」としている。

 上告不受理の決定がなされたことは、非常に残念に思います。

 この問題の詳細を検討すると、移転統合の際に学生側の同意を得られたとは考えにくいといえます。また、移転統合が発表されたのは2004年4月でしたが、2004年度入学の学生にすら受験時には移転計画は知らされず、入学後の新聞報道によって初めて知るというものだったということです。大学側が性急に統合を急いだのは乱暴な判断であり、少なくとも在校生が卒業するまでの間は守山での就学を認めるべきだったのではないかという思いがあります。

 また、「長期にわたって大学を運営する」という前提で滋賀県や守山市からの多額の補助金を得て2000年に開設したキャンパスをわずか5年で撤退したこと、守山市・学校法人平安女学院・学校法人立命館の3者の利害関係も絡んでいること(守山市立守山女子高校を立命館に移管し、立命館守山高校を守山キャンパス跡に移転開設予定)など、学生や市民とは無関係なところですすめられた不透明な経過もあります。

 学生の就学への責任、また社会全体への責任という面から、平安女学院に関する一連の問題で、平安女学院の行為は社会的にみて妥当ではないという気がします。

〔関連リンク〕
平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
全国国公私立大学の事件情報 カテゴリー (私)平安女学院大学
就学権確認訴訟を支援する大学人の会
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