埼玉県川口市立中学校3年の男子生徒がサッカー部内でいじめや顧問教諭からの暴行を受けて不登校になり、第三者委員会が調査している問題で、事件のあった学校では12月15日に保護者説明会がおこなわれた。

 校長は、被害生徒や保護者の中傷がネットに書き込まれるネットいじめがあるとして、「中傷書き込みはやめてほしい」「ネット上の誹謗は新たないじめと認識している。今後さらに防止策を検討する」と訴えたという。

 当該生徒は中学校入学直後からサッカー部で、部員からSNSで「しね」と書き込まれる、SNSのグループから外される、練習の際には練習相手になってもらえないなどのいじめを受けた。またサッカー部の顧問教諭は、部内でこの生徒にげんこつを加えるなどしたという。これらの行為で生徒は不登校になった。

 学校によると、インターネット上での生徒や保護者への中傷書き込みは、事件が新聞報道された2017年秋頃から急増しているという。内容から、ほとんどが学校関係者によるものとみられるとしている。

 生徒は3年生に進級後に登校できるようになったが、書き込みにショックを受け、再び不登校状態になった。

 いじめ事件や教師の暴行事件(いわゆる「体罰」事件)が発覚すると、心ない学校関係者や地域住民が「被害者や保護者がマスコミなど外部と結託して学校を攻撃している」というありもしない妄想を抱き、「学校の妨害者から学校を守れ」とばかりに被害者を攻撃する事例は、よく見られる。そしてそれは必然的に、加害者のいじめや暴力を当然とか、大したことがないとする前提に立っていることにもなる。

 このような嫌がらせは、過去のいじめ事件や「体罰」事件でも、嫌というほど繰り返されてきたものである。

 しかし、絶対的に悪いのは、いじめの加害者であり、「体罰」の加害者である。暴力・いじめは上等で、それに対して被害救済を訴えることが「騒いで学校を攪乱させる絶対的悪」と扱うなど言語道断であり、人間性を疑われるような卑劣な行為である。

 「騒ぎ」扱いするというのなら、そもそも加害者が犯罪的な暴力行為さえしなければ、問題自体が起きなかったということになる。しかし被害者攻撃の下劣な連中は、そういう根本的な点には、決して目を向けない。

 「逆恨みで被害者を攻撃し、加害者の行為を正当化する」という人間として卑劣な行為に加勢するのか、それとも良心的な振る舞いをするのかが問われている。

(参考)
◎不登校の生徒、登校するもネット上で中傷…学校関係者か 再び不登校に 川口の中学校、校長「中傷やめて」(埼玉新聞 2017/12/15)
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