鹿児島県立高校1年の男子生徒が2014年8月に自殺し、背景にいじめが指摘されている問題。遺族が「第三者委員会の調査は不十分」と訴えていたことに関連して、三反園訓鹿児島県知事は12月21日、県教委に再調査を要請した。

 生徒は2014年8月、鹿児島市内の自宅で自殺した。

 この事件に関しては、第三者委員会が2017年3月にまとめた報告書によると、「生徒の持ち物が隠されていた」「生徒の告別式に参加した生徒が、『俺たちヤバくない?』と話していた」などの事象を認定している。その一方で、いじめがあったとは断定できない、これらの事象と自殺との因果関係についてははっきりしないと結論づけた。

 調査結果については、第三者委員会による生徒への聴き取りは3人だけにとどまっていることなどを指摘し、遺族は「調査が不十分」と疑問を呈した。

 遺族側は再調査を求めて、三反園知事に面会を求める連絡を送っていた。しかし知事は、遺族側に面会することないまま第三者委員会への要請をおこなっている。この点について遺族側は「知事は『遺族に寄り添った調査をおこなうべき』と言っているが、知事自身が私たちに寄り添っているとは感じられない」「報告書の内容の疑義について、知事に説明したかった」などと不満を述べているという。

 再調査自体は求められることではあろう。しかしその一方で、知事が「遺族に寄り添う」という立場を表明しながら、当事者の遺族からは「そうとは感じられない」と批判されるという、おかしなことにもなっている。もっとていねいに対応すべきではないか。

(参考)
◎鹿児島・高1自殺 知事が再調査要請 遺族「話を聞いて」(毎日新聞 2017/12/21)
◎高校生自殺問題 知事が再調査を指示(鹿児島県)(KYT鹿児島読売テレビ 2017/12/21)
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