兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒が2016年9月に自殺した問題で、加古川市教育委員会が設置した第三者委員会は12月23日、生徒の自殺はいじめが原因と判断したとする調査内容を発表した。

 生徒は1年時から、クラスや部活動で、無視や仲間はずれ・からかいなどのいじめを受けていた。その様子に気づいた別の生徒の保護者が学校側に指摘したものの、学校側は「生徒間のトラブル」として処理した。

 さらに2年生に進級してからもいじめは続いた。2016年6月に学校側が実施したいじめアンケートでは、生徒はいじめを訴える内容を記入していた。

 しかし学校側はアンケートを放置して、対応しなかった。また学校側は、アンケートの存在や内容を保護者に知らせていなかったという。

 生徒は2016年9月12日、いじめを受けたと訴えるメモを残して自殺を図り、約1週間後に死亡した。

 第三者委員会では「SOSのサインが教職員らによって見逃されてきた」と厳しく指摘している。さらに女子生徒の日記や同級生への聴き取りから、「いじめを受けたことで強い無力感や自己否定感が形成されて自殺につながった」として、自殺との因果関係も認めた。

 いじめと自殺との因果関係を明確に認定する報告内容が出たのは、珍しい事例ではないかとも思われる。第三者委員会で認定された範囲でも、SOSのサインが見逃されたと厳しく批判されてもおかしくないほどではないかとも考えられる。

 遺族側に誠実な対応をとることや、いじめ事件で的確な対応をするにはどうすればいいかという研究を深めて再発防止につなげていくことなど、今後の課題は多い。

(参考)
◎加古川中2自殺 第三者委「いじめが原因」と認定(神戸新聞 2017/12/23)
◎学校対応に「強い不信感と憤り」 遺族代理人会見(神戸新聞 2017/12/23)
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