神戸新聞2018年1月6日付(ウェブ版)に『「長髪の中学生は不良」 神戸の校則、今は全廃』が掲載されている。

 かつて、男子中学生に校則で丸刈りを強要する「丸刈り校則」が全国各地の学校に存在した。神戸市では「丸刈り校則」を導入した市立中学校が特に多かったとされる。神戸市での「丸刈り校則」の歴史的な経緯についてまとめた記事である。

神戸市での経緯



 記事によると、神戸市では1980年代前半までの校内暴力を背景に、中学生を見分けやすくするなどとして、市立中学校全校に丸刈り校則があったという。管理教育の一環として、教師が生徒の髪の毛をバリカンで刈ることもおこなわれていた。

 1987年の文部省の臨時教育審議会の答申で「個性の尊重」などがうたわれたことを背景に、翌年の1988年に六甲アイランドに新設開校した中学校では「丸刈り校則」を設けなかった。その後1990年代前半に各中学校で「丸刈り校則」撤廃の動きが進み、1995年までに全校で丸刈り校則が撤廃された。

全国的な動き



 「丸刈り校則」は当時から管理教育の象徴として扱われ、人権侵害も甚だしいものである。当時の生徒にとっては著しい苦痛となっていたものでもある。

 「丸刈り校則」は遅くとも1970年代・80年代から人権侵害として問題になり、訴訟なども起こされている。

 1993年には、大阪市を中心とした近畿の中学生グループが、「丸刈り校則」の撤廃を求めて文部省に要請をおこなった。

http://kyouiku.starfree.jp/d/post-7368.html

 当時の赤松良子文部大臣は「丸刈り校則」に否定的な見解を出した。

 要請の中心となった生徒らがいた大阪市でも、神戸市とほぼ同時期に「丸刈り校則」が全廃されている。また全国的にも、1990年代初頭時点で「丸刈り校則」が残っていた地域や学校では、1990年代半ばに撤廃される動きが急速に進んだとされている。

「丸刈り校則」はほぼなくなったものの…



 2018年時点では「丸刈り校則」は全国的にもほぼなくなったものの、管理教育的な指導・校則は形を変えながら、学校現場に残り続けている。

 例えば、生まれつき茶色い地毛の生徒に「地毛証明書」を出させたり黒染めを強要するなどは、「丸刈り校則」やそれに伴う「違反者とされた生徒の髪の毛をバリカンで刈る」などと、根本的な発想は共通しているものだといえる。

 このほかにも、生徒の権利や行動を理不尽に制限しているのではないかと思われる「ブラック校則」の問題については、いろいろな角度から指摘されている。

 子どもの人権を侵害するような校則・指導ではなく、子どもの人権を尊重していくような体制を引き続き広げていくことが、必要となっている。
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