名古屋市教育委員会は3月5日、市立小学校で実施されている部活動を2020年度末までに廃止する方針を決めた。

 名古屋市では全261市立小学校で、希望する4年生以上の児童を対象に、サッカーや野球などの部活動がおこなわれている。約7割の児童が参加している。活動は週3回前後となっている。

 しかしその一方で、教員が部活動の顧問を引き受けることになり、部活動顧問は事実上半強制的となっているという指摘もある。教員が部活動に割く時間は少なくとも月30時間以上あるという調査結果も出ている。

 このため、教材研究の時間が取れないなどの指摘もされている。さらには、過労死ラインとされる残業月80時間ラインを超えた教員も全体の2割弱になっている。

 そのため、教職員の負担を減らすのが緊急の課題として、部活動の廃止を決めた。2021年度以降は地域の人や民間企業などが運営に参画する方式などを含め、課外活動のあり方を広く見直すことも検討している。

 教職員の多忙化・過重負担は、かねてから指摘されてきた。小学校では2018年度より道徳が教科化され、また2020年度からは英語が教科化されることから、さらなる負担増が予測される。

 その際に、本来は自主的な課外活動という扱いになっている部活動の負担まで加わると、授業や教材研究・生徒指導など本来の業務に支障が出ることにもなる。教員の過重負担を解消することは、緊急の課題だといえる。

 教員に部活動顧問を押しつけるような形での部活動運営を改善することは、一つの手法ではある。

 またその一方で、教員の多忙化は部活動だけが要因ではなく、他の分野も含めて全体的に人が足りないということにもある。適切な教員定数増、採用や配置なども、同時に求められている。

(参考)
◎名古屋市 市立小学校の部活動廃止 教員の多忙化を解消へ(毎日新聞 2018/3/5)
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