大阪府教育庁は4月16日、大阪府立高校計90校が校則や生徒指導方針の見直しをおこなったと発表した。

 大阪府立懐風館高校の女子生徒が、生まれつき茶色がかっている髪の毛を黒く染めるよう強要されるなどした「黒染め強要訴訟」を受け、2017年12月に教育庁が各高校に対して、校則や生徒指導方針の点検を指示していた。

校則・生徒指導方針見直しの概要



 大阪府では、府立高校・特別支援学校197校のうち、計90校で校則や生徒指導方針の見直しや改訂が実施された。

 うち全日制高校では、135校のうち約4割にあたる53校で校則の内容改訂が実施された。また61校が生徒指導方針の見直しをおこなった。

 校則の見直しについては、生まれつき髪の毛の色が黒でなかったりくせ毛の生徒に配慮し、「茶髪の禁止」「パーマの禁止」をそれぞれ「染色・脱色の禁止」「故意によるパーマの禁止」という表現に変更した学校があったという。

 「冬場の防寒着の着用禁止」などの校則を削除したり、携帯電話について「持ち込み禁止」から「授業中の使用禁止」に変更した学校もあった。

 また「下駄通学の禁止」「アイパー(アイロンパーマ)の禁止」などの校則について、現代ではほぼ見かけず、時代に即していないとして削除した学校があったことも指摘されている。

 生徒指導については、再三頭髪指導をおこなっても従わない生徒を、保護者とともに呼び出す「懲戒指導」を廃止した学校もある。

 一方で、SNS利用の際のネットリテラシーに関する生徒指導方針や、「カラーコンタクト・マスカラ・マニキュアの禁止」などの校則を新たに追加した学校もあった。

校則の見直し・点検は必要



 大阪府では校則の見直しについて、「生徒や保護者の納得感が一番重要」とする見解を、2017年12月の大阪府議会で述べている。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-11410/

 今回の調査・見直しについても、大阪府教育庁は「校則は、生徒の実情や保護者の考え方、時代の進展などを踏まえて、絶えず点検や見直しを行うべきものだ。教育庁としても、そのような方針で各学校を指導していく」「懲戒指導などという文言をやめることで、生徒と対話しながら改善を促す姿勢を示したと考えている」という見解を示した。

 そもそも、その校則が本当に必要かどうかという出発点から、生徒や保護者の意見を集約しながら、一つ一つ時代に即して見直しをおこなっていくことが重要ではないか。校則を守らせることそのこと自体が目的となると、生徒を抑圧し、人権を侵害する手段ともなりかねない。

 個別に見れば、まだ十分とは言えない点はあるのかもしれない。しかし改善・見直しに向けての一歩が踏み出されたということは、重要な前進ではないか。

(参考)
◎「下駄通学の禁止」やっと廃止に 大阪府立校で校則変更(朝日新聞 2018/4/16)
◎大阪の府立高校 約4割で校則見直し 点検指示受け(NHKニュース 2018/4/16)
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